不動産賃貸業の事業継承①|相続、その前に考えてほしいこと
土地活用を中心とした建設業を営む者として、つくづく「相続」というのは、人間の思惑が絡み合う難しいものだと感じる光景に遭遇します。
筆者がいくつもの相続の場面をお見かけする中で、“相続(事業継承)が発生する前に考えておくべき”と思うことを、少し述べてみたいと思います。
当社では、節税対策として不動産賃貸業を始められるお客様が多くおられます。
この事業を長く営んでいるため、当社で賃貸マンションを建てられ、マンションオーナーとして過ごされた後、相続の時期をむかえるお客様とたくさん接してまいりました。
賃貸マンションをご家族に引き継ぐことを含めた、相続ですね。
円満でスムーズな相続になるのか、いわゆる争族に至ってしまうのかは、相続が発生する前に要因があるようです。
“うちの家族は仲がいいから”は、危険です
「うちの家族はみんな仲が良いので、自分の後の事は家族で話し合ってうまく分けるだろう。」
と、特段の準備をせずに相続に至るケースが、案外多く見られます。
しかし、ご存命の間は特に親族間のトラブルが無かったのに、相続発生後にいわゆる争続に発展しまうことが多々あるのが実情です。
要因はさまざまですが、ほとんどは相続人それぞれが抱く“不公平感”にあるでしょう。
相続税額軽減が第一になっていませんか
相続対策は、「相続税を軽減する」ことが目的のひとつです。
しかし、必ずしも最良の相続税軽減策と、相続後円満な資産継承の配分が同じという訳ではありません。
資産税の算段に重きを置いてしまうと、大切な家族が争うという望まない結果を迎える可能性があります。もしそうなっても、時すでにおそしで自分には何もできません。
まずは、ご自分の意向をはっきりさせましょう
まず、ご自分が次の世代にどのように資産継承をしたいかの方向性を十分吟味される事をお勧めします。
自分がどうしたいのかをはっきりさせ、ご家族への資産配分を熟慮されてから、ご家族に伝えるという流れが必要なのです。
自分の意向持った上で、税理士に相談へ
最初にご自分の意向をご自分で確認し、その意向を反映させた節税策の提案を税理士に依頼しましょう。
それが、将来にわたってご家族が、引き続き争いのない平穏な日々を送るための秘訣です。
一番大切なご家族のことを一番分かっているのは、ほかならぬご自分のはずです。
そういったご家族との長い歴史や、それぞれの家族への想いというのを資産継承にどう反映させたいかは、どれほど税金対策に詳しい税理士でも、分かるはずもありません。
自分が元気なうちにご家族と話し合いましょう
いくらご自分の意向を明確にしても、それに対する家族の反応はさまざまかもしれません。
考え抜いて決めた資産配分に、配偶者さま、お子さまで意見がわれたり、別の新たな案が出てくるかもしれません。
自分の意向に素直に従ってくれるご家族、それぞれいろんな考え方を率直に話されるご家族、お子様たちと疎遠になっておられるご家族等。家族事情はさまざまですが、どの場合においても、ご自分の意向を持つことが最優先です。
“ご自身の意向”がはっきりしていることが、ご家族との話し合いの指針になるのです。
おわりに
今回は、不動産賃貸業の事業継承、相続においてご自分がどのようにしたいか意向を持つことが重要で優先させた方がいいですというお話をさせていただきました。
どなたかの参考になりますと幸いです。
*不動産の事業承継に関するコラムは、引き続き掲載予定です。